■第11課~第15課の文型の注意ポイント(導入する順番に情報を掲載しています)
➀ 【Vテ形】います
[テキスト]
・第11課①で、今回は、【習慣】の意味で『【Vテ形】います』を導入します。
・第13課②で、装着動詞を使った『【Vテ形】います』を導入します。
・第15課③で、【結果の状態】を表す言い方として『【Vテ形】います』を導入します。
[注意ポイント]
・この課では、【装着動詞】を取り扱います。装着動詞は、着る、かぶる、履く、ネクタイをする などです。
・【結果の状態】として『【Vテ形】います』も出てきますので、これまでの『【Vテ形】います』を復習しながら導入すること。第7課、第8課、第11課、第13課、第15課に分かれて導入されますので注意してください。
(例文)〈第7課③〉 山田さんはあそこで電話をかけています。 (進行・継続)
(例文)〈第8課①〉 私は大阪に住んでいます。 (進行・継続)
(例文)〈第8課①〉 私は日本語学校で日本語を教えています。 (職業)
(例文)〈第11課①〉 毎日コーヒーを飲んでいます。 (習慣)
(例文)〈第13課②〉 山田さんは、黄色いTシャツを着ています。(動詞は装着動詞)
(例文)〈第15課③〉 入口に人がたくさん並んでいます。 (結果の状態)
② 【Vタ形】り【Vタ形】りします ※【Vタ形】初導入
[テキスト]
・第11課①で、【動詞のタ形】を始めて導入します。
[注意ポイント]
・これまで導入した【動詞のテ形】、【動詞の辞書形】、【動詞のナイ形】を復習しながら導入すること。
・文型を通じた意味の違い、どういうときに使いかをイメージさせること。
(例文) 休みの日、家でテレビを見たり、勉強したりします。
③ 友達言葉 ※【友達言葉】初導入
[テキスト]
・第11課③で、初めて【友達言葉】(普通体)を導入します。
[注意ポイント]
・「~です。/~ます。」のような丁寧体ではなく、友達と話すときに使う言葉として【友達言葉】を導入します。
・【友達言葉】として初級は導入しますが、今後文型説明で必要な【普通形】になるのでしっかり定着させます。
(例文) 行きます ⇒ 行く 行きません ⇒ 行かない
行きました ⇒ 行った 行きませんでした ⇒ 行かなかった
忙しいです ⇒ 忙しい 忙しくないです ⇒ 忙しくない
大変です ⇒ 大変 大変じゃありません ⇒ 大変じゃない
雨です ⇒ 雨だ 雨ではありません ⇒ 雨じゃない
④ 【普通形】んです ※【普通形】初導入
[テキスト]
・第12課①で、【普通体】を始めて導入します。
[注意ポイント]
・使うときは「話し言葉」です。書くときには使いません。
・【普通形】を使う文型がこれからも出てきます。特に、【名詞】【ナ形容詞】の【普通形】との接続文型では活動注意させること。
(例文) 〈動詞〉 けがをしたんです。
〈イ形容詞〉 頭が痛いんです。
〈ナイ形容詞〉 今日、暇なんです。
〈名詞〉 風邪なんです。
⑤ 【V辞書形】前に、~/【N】の前に、~ ※時間のイメージ
[テキスト]
・第12課③で、導入します。
[注意ポイント]
・後件が過去でも、前件(前に)の動詞の場合【辞書形】になること。
・【名詞】の場合、第7課①で同じ文型を導入していますが、意味が違うため復習しながら導入すること。
(例文)〈第7課①〉 銀行の前に本屋がありす。 『【N1(場所)】に【N2(物)】があります』(場所)
・【要注意】『【Vタ形】あとで、~』は、初中級第5課①で導入されますので、できる日本語では、『~前に、~』のみ導入します。学生からよく質問が出ますが、『あと(後)』はこの課では取り扱いません。
・接続のパターンにも注意が必要ですので、例文をたくさん作りながら導入すること。
(例文) ご飯を食べる前に、薬を飲みます。 【動詞】
食事の前に、手を洗います。 【名詞】
1週間前に、風邪をひきました。 【~時間・~日】
⑥ 【Vナイ形・ない】ければなりません
[テキスト]
・第14課②で、100%【V】する意味での『【Vナイ形・ない】ければなりません』を導入します。
[注意ポイント]
・この課では100%しなければならないことを取り扱います。それ以上は広げません。
(例文)〈第14課②〉 シートベルトはしめなければなりません。 (100%)
・今後、初中級の第3課②で『【Vナイ形。ない】ければなりません』が出てきます。その時は、100%以外の意味として、目標に向かって行う意味としています。
(例文)〈初中級第3課②〉 両親が来るので、空港に迎えに行かなければなりません。
⑦ 【普通形】と思います (意見)/(推量)
[テキスト]
・第14課③と第15課②で、第14課③は、『【意見】として思う』意味で、第15課②は『【推量】として思う』意味で導入します。
[注意ポイント]
・第14課③では、『【意見】として思う』意味として導入します。第15課②で【推量】が出てきますので注意しながら導入します。
(例文)〈第14課③〉 大阪の地下鉄は複雑だと思います。 【意見】
(例文)〈第15課②〉 あのお店はきっとおいしいと思います。 【推量】
⑧ 【普通形】そうです (伝聞)
[テキスト]
・第15課①で、【伝聞】の『【普通形】そうです』を導入します。今後出てくる【様態】と違うので注意が必要です。
・初中級(第2課①)は【様態】で、初中級(第9課②)は、【直前の様態】です。
・また、初中級(第12課①)『【普通形】らしいです』【伝聞】も学生が知っている場合もありますが、ここでは取り扱わないこと。
(例文)〈第15課①〉 明日、台風が来るそうです。 【伝聞】
(例文)〈初中級(第2課①)〉 あの時計は高そうです。 【様態】
(例文)〈初中級(第9課②)〉 棚から荷物が落ちそうです。 【直前の様態】
(例文)〈初中級(第12課①)〉疲れたときは、酸っぱいものを食べるといいそうです。【伝聞】
⑨ 【N】で (原因)
[テキスト]
・第15課①で、『○○が原因で、結果として○○になった。』を伝える『【N】で(原因)』を導入します。
[注意ポイント]
・【N】は原因なので、よくないことです。
・初中級(第5課②)で、『~て、~』(理由)の文型を導入します。学生の質問時には注意のこと。
(例文)〈第15課①〉 事故で電車が止まっています。 (原因)
(例文)〈初中級(第5課②)〉 アナウンスが速くて、聞き取れません。 (理由)
■学習項目の順番に上記内容をまとめています。(テキストP270~)
注意点などを色を変えて追記しています
まとめ
今回は、3回に分けて「できる日本語(初級)」の文型全体を見ながら注意すべきポイントを簡単ですが整理してみました。私が日本語教師になりたてのころは、担当する授業のことが最優先で、準備時間もなく取り組んでいた感じです。そのため、文型の導入時、同じような文型で意味が違うことを学生に質問されても、最初の事はその区別がつかず苦労しました。そのため少しずつですが、文型全体を見るようになり、一覧表にしてまとめながら準備してきました。今回、そのデータを基にまとめてみました。文型そのものの注意点や、接続などに関しては専門書で確認いただければ幸いです。今回は初級のテキストの文型全体を把握するためにまとめましたので、その点をご理解いただき、少しでもお役に立てれば幸いです。今後ともよろしくお願いします。
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