■はじめに ※第1課と同じ内容です※
できる日本語の中級は、これまでの初級、初中級とのテキストの構成がまったく違います。テキストの使い方などは、『できる日本語ひろば』のホームページに参考になる情報がたくさん掲載されています。テキストの使い方、教え方に関しては、下記ホームページをご覧ください。
★できる日本語ひろば
これまで文型を中心に、新人日本語教師向けに事前に知っておきたい注意点などをこれまで掲載してきました。中級に関しても同様に注意点を課ごとにまとめて掲載させていただきます。実際に「できる日本語(中級)」を使って授業の準備をする際に、少しでも効率的に役立てればと思って掲載させていただきます。他の文型に関する参考図書なども合わせて活用いただければ幸いです。
■第5課①~⑤の文型の注意ポイント など
◇第5課①より
1.~によって/~により/~による 〈原因〉
【接続】
[N+によって]
[N+による+N]
【意味】
・~が原因・理由で
【注意】
・少し硬い表現です。「~により」は「~によって」の書き言葉的な言い方です。
・「~によって」の意味は他にもある(受身文の動作主、手段、よりどころ)ので注意してください。
2.~おそれがある
【接続】
[Vー普通形/Nの+おそれがある]
【意味】
・~というよくない ことが あるかもしれない
【注意】
・硬い表現です。書き言葉的です。
・ニュースや解説記事などでよく使います。望ましくないことの場合に限ります。
◇第5課②より
1.~そうにないんですが
【意味】
・話す人が、予想や考えを伝えて、「(約束のことを/予定のこと)をするのは 難しい」と言いたいときに使います。
・できる可能性が低いことを表します。話し手が状況から判断して言う表現です。
【注意】
・例文として3つの言い方があるが、意味は同じで特に違いはないですが、「~が」(書き言葉的)で、「~けれども」「~けれど」「~けど」の順でより話し言葉になります。
2. とか(で)
【接続】
[文+とか(で)]
[N/Naだ+とか(で)]⇒禁止だとかで、~
[A/V とか(で)]⇒引っ越すとかで/事故があったとかで
【意味】
・~そうだ ~と聞いた
・「聞くところによると…のような原因・理由で」という意味で、原因・理由の部分が他の人から伝え聞いたものであることを表します。
【注意】
・話し言葉的です。はっきりわからないとき/はっきり言いたくないときに使います。
◇第5課③より
1.~てしまったようなんです
【意味】
・「~てしまったんです」よりあいまいな表現。はっきり言わないための表現です。
・「はっきりわかりませんが、たぶん~てしまったのかもしれません…」
【注意】
・「~てしまった」だけの文は、完了・残念・後悔の意味があります。
・今回の文型はさらに「+ようなんです」(推量)を合わせたものです。
2.~ところに/~ところへ/~ところを
【接続】
[V- 辞書形・テ形いる・タ形/イAい+ところだ]
【意味】
・ちょうどその状況に/へ(+来た、~てきた、など)
・ちょうどその状況を(+みられた、発見された、など)
【注意】
◎「~ところに/へ」…「~している/~したときに」の意味を表す。
・ある段階における状況の変化・変更させるような出来事が起こることを表す場合に用いる
・ものごろの進行を妨害・邪魔するよな出来事のことが多い
・現状をよい方向に変えるような場合もある
◎「~ところを」…前後に動詞を伴い、前の動詞によって表されている状況の進展に対して、直接的な働きかけを与えるような動作が後に続くことを意味する。
・後続の動詞としては「見る・見つける・見つかる・発展する」といった、視覚や発見の意味の動詞や、「呼び止める・捕まえる・捕まる・襲う・助ける」など、停止・捕捉・攻撃や救助といった意味のものが用いられる。
3.~につれて
【接続】
[Vー辞書形/N+について]
※Nは「Nーする」の形で使われるもの
【意味】
・~すると、(だんだん)……になる
(ある事態の進展とともに、他の事態も進展するという、比例関係を表す)
【注意】
・(A)につれて、(B)…AもBも変化を表す言葉がきます。
・後ろの文(B)には話す人の意志を表す文「~つもりだ、~たいです、~しましょう…」はきません。 ・「~につれて」の書き言葉は「~につれ」です。
◇第5課④より
1.~ものだ/~ものではない
【接続】
[Vー辞書形・ナイ形ない+ものだ]
[Vー辞書形+ものではない]
【意味】
・~する/しないのが普通だ、当然だ (常識・本質)物事の常識や本質、一般的な状況を言うときの表現
【注意】
・目上の人が下の人にアドバイスをしたりするときに使うことが多いです。
・今回の文型では「~ものだ」【本性】で、心理や一般的に言われていることで、それ以外に【感慨】として本来の性質などにいて、ある種の感慨をこめて述べるのに用います。(意味、使い方は多いので注意)
・今回の文型では「~ものではない」は、人の行為を表す動詞を受け、「…すべきではない」という意味を表します。
・忠告を与えるような場合に使います。
2.~とおり(に)/~どおり(に)
【接続】
[Vー辞書形・タ形/Nの+どおり(に)]
【意味】
・~(と同じ)ように
【注意】
・[N+の とおりに]/[N+どおりに]になる」
・(N)予定・指示・思いなので名詞など
・(V)言う、思うなどの発言や思考を表す動詞など
3.~際(に)
【接続】
[Vー辞書形・タ形/Nの+際]
【意味】
・~とき ~場合
【注意】
・特別なときに使います。アナウンスや説明などで使う硬い表現です。
・「~とき」と言い換えられるが改まった言い方でありますが、機会・チャンス・きっかけなどの意味が加わる場合もあります。
4.~こと
【接続】
[Vー辞書形・ナイ形ない/Nの+こと]
※Nは[Nーする]の形で使われるもの
【意味】
・~しなさい/~してはいけない
【注意】
・学校、団体などで指示や規則などを書いて伝えるときの表現です。
・「こと」にはたくさんの意味があるので注意してください。
・今回は、文末で用いて、命令やそうすべきだという話し手の気持ちを表します。
◇第5課⑤より
1.~まま
【接続】
[Vータ形・ナイ形/イAい/ナAな/Nの+まま]
【意味】
・そのまま(変わらない)で、 ~の状態がずっと続いて
【注意】
・過去のある時点の状態(名詞、形容詞)が続きます。また、動詞のタ形より【完了】した後、同じ状態が続いていることです。
2.~だらけ
【接続】
[N+だらけ]
【意味】
・~だらけだたくさんある、~がたくさんついている
【注意】
・汚いもの、いやなものがたくさんあったり、表面についていたりしています。
・「~でいっぱい」と違い、話し手のマイナス評価を表すことが多いです。
3.~んだろう/~のだろう
【接続】
[普通形(ナAな/Nな)+んだろう]
【意味】
・見たり、聞いたりした情報からの判断。推量。
【注意】
・文末は「⤵」となる。話し言葉では「~んだろう」になります。
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